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スイレンの特徴
クロード・モネの代表作『睡蓮』でもお馴染みのスイレンは、世界各地の熱帯、亜熱帯、温帯に約100種以上が分布するスイレン属スイレン科の多年生の水草で、地下茎または塊茎をもっています。
良く栽培されるのが寒さに強いパステル調の柔らかい花色と花形が多彩な耐寒性の温帯性スイレン。
花は昼咲きのみで葉も花と同じく円形で水面に浮き、全体で5~6品種ほどしかありません。陽射しが弱まると早々に花を閉じてしまう様子が眠ってしまうように見えたところから、「眠るハス」を意味し「睡蓮」と呼ばれています。
一方、熱帯地域に自生する熱帯性スイレンは、種類が多く花は長い花柄をもって水面から出ています。
青や紫の花色が人気で葉は広い楕円形で欠けている部分が温帯スイレンに比べて大きく深く、葉柄が長く水面から突き出ています。
日本ではよくお寺の池や湖、沼などで見かけることが多いですが、温帯スイレンが育てやすく小型のヒメスイレンなら小さな容器に入れてベランダでも育てることができます。
またスイレン(睡蓮)とハス(蓮)はよく似ていますが、睡蓮がスイレン目・スイレン科・スイレン属であるのに対し、蓮はヤマモガシ目・ハス科・ハス属になります。
そして花と葉の付き方も全然違います。
スイレンの花は水面に咲き 葉は丸く切れ込みが入っています。
蓮の花は水面から茎を伸ばして高く上がって咲き、葉は切れ込みがなく表面は水を弾きます。
科名 | スイレン科 |
---|---|
種類 | 耐寒性多年草 |
別名 | ヒツジグサ(未草)、ウオーターリリー、 |
原産地 | 東南アジア、アフリカ、南米 |
高さ | 15~100cm(水中からの高さ) |
花期 | 5~10月 |
増やし方 | 株分け |
スイレンの育て方
春にしっかりした芽が1、2個ついてる根茎を浅鉢に植えます。植え付け用土は荒木田土や田土が適しますが、赤玉土でも大丈夫です。
直径の広い水を張った水鉢に鉢ごと沈めて育てることができます。
日当たりがよいことが大切で、深い容器に沈める場合は、底にレンガなどを敷いてから鉢を置き、枯れた葉はこまめに取り除き水中まで日が届くようにします。
温帯スイレンは水が凍結しなければ戸外で越冬できます。
熱帯スイレンは冬には茎葉を切り、水を入れた発泡スチロールなどの容器に鉢を入れて室内で冬越させるようにします。
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スイレンの花名の由来
写真:雄太さん(写真AC)
学名のNymphaea(ニンフェア)は二ンファーと命名された植物から。また水の妖精(ニンフ)のことだとも伝えられています。
英名の Water lilyは、水の上で咲く百合という意。
和名の睡蓮(スイレン)の名前は、朝に開いて夕方に閉じる姿を眠ることに喩えつけられました。
未草(ヒツジクサ)は未の刻ごろに咲かせる事にちなみ、睡蓮はヒツジグサの漢名ですが、一般にスイレン属の水生植物の総称として用いられています。
スイレンにまつわる伝説と伝承
・スイレンはエジプトの国花。ナイル川の増水とともに咲き乱れ、水面を美しい花でいっぱいにする花として神聖視され、その神秘的な様子から「ナイルの花嫁」と呼ばれるというエジプト神話がある。
・スイレンの王冠をかぶった冥界の神オシリスと女神イシスの子「太陽神ホルス」は、泥土の上にスイレンのつぼみが花開くと花弁の上から慈悲深い光で世界を照らし平和を見守る。太陽神ホルスは「死と再生」のシンボルとされ、神殿にはスイレンの花を図案化した壁画や柱頭があり、死後の再生を信じる古代エジプト人の死生観を表すというエジプト神話がある。
・水の妖精・ニンフは、英雄・ヘラクレスに恋心を抱く。思いが通じ、一時は恋人同士に発展したのですが、ヘラクレスは身分の違いを理由にニンフを捨ててしまう。ヘラクレスに捨てられたニンフは悲しみのあまりナイル川に身を投げて死んだあと、スイレンになって甦えったというギリシャ神話がある。
・美しい水の精の三姉妹の母親が三姉妹にこれからどうしたいか聞くと、長女は「水の守護になる」次女は「水を離れず神の意のままに」三女は「神と親の命ずるままに」と答えた。
そこで母親は長女を外海の守り神に。次女を内海の守り神に。三女を泉の女神にした。末娘は夏になると美しいドレスをまといスイレンの花となって毎年咲くというギリシャ神話がある。
・ドイツには「睡蓮の葉の下には魔物が住む」という言い伝えがあり、睡蓮を摘もうとすると魔物に引きずり込まれると恐れられていた。
・仏教では穢れのない心の象徴とされ、仏典に現れる蓮華は青蓮華、白蓮華、紅蓮華、黄蓮華の4つ。このうち青蓮華と黄蓮華がスイレンとされ、残りは蓮である。
・古代エジプトの医学古文書には、葉を油に入れて煮た養毛剤の処方箋がある。
スイレンの花言葉
「信頼」「無垢」「愛情」は、大事なものを包んでいるように咲く花姿が由来で、「清純な心」は、野生のスイレンの多くが白い花であることにちなみます。
「信仰」は、古代エジプトでは睡蓮が「復活の儀式」や「葬儀」などに用いられ太陽のシンボルとされたことに由来し、
「冷淡」「終わった恋」は、ヘラクレスとニンフの悲しいギリシャ神話からきています。
写真:雄太さん(写真AC)
花言葉:「心の純潔」「清純」「純粋」「太陽の恵み」「やさしさ」「甘美」「冷淡」「終わった愛」「無垢」「信仰」
白いスイレン:「清純な心」「無垢」「純潔」
ピンクのスイレン:「信頼」
黄色のスイレン:「やさしさ」「甘美」
誕生花:4月27日 5月8日 7月1日 7月7日 7月10日 7月23日 7月24日 8月5日 8月8日 10月30日
白いスイレン:4月27日
黄色のスイレン:5月8日