スズランは贈り物やガーデニングの花として、世界中で愛されている花です。
壺をひっくり返したような可愛らしい白い花を咲かせます。
ベルのような花姿から、揺らしたらリンリンと音が聞こえてきそうな愛らしさなのですが、
意外にも球根と花粉には有毒が含まれていますから注意が必要です。
目次
スズランの特徴
スズランは長楕円形の2枚の葉が基部で抱き合うように出て、葉より短い花茎に、釣り鐘のような形をした花を5~10個つけ下を向いて咲きます。
自生種の日本スズランとヨーロッパ原産のドイツスズランがあり、香水の原料などにも用いられるほど香りがいいのですが、花の大きさも芳香もドイツスズランの方が上です。
ただ、花には毒が含まれているので注意が必要です。
欧米ではMay lily(5月の百合)という名前でよく呼ばれています。
科名 | ユリ科 |
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種類 | 耐寒性宿根草 |
別名 | 谷間の姫百合、キミカゲソウ(君影草)、ドイツスズラン(独逸鈴蘭) |
原産地 | 日本、ヨーロッパ、北アメリカ |
高さ | 15~25cm |
花期 | 4~5月 |
増やし方 | 株わけ、タネ撒き |
スズランの育て方
スズランは鉢植え・地植えともに、日当たりと風通しが良く水はけの良い環境で育てます。日を当てることで花付きもよくなるので春と秋は十分に日光を当ててやりましょう。
ただし、日当たりが良すぎても乾燥して枯れてしまうため、できれば落葉樹や庭先にある樹の下などに植えるようにするといいですね。
また、日本の夏の高温多湿を嫌うので、夏の間は半日陰になるような場所に移動し、地植えの場合は樹の下などになどの「明るい日陰」で育てるようにしましょう。
秋の終わりに差し掛かると地上部が枯れてしまいますが、冬を越して春になると新しい芽が吹きます。スズランは-10度にも耐えうる草花ですので、寒さには強く、冬はあまり気にかける必要はありません。
水やりと肥料
鉢植えの場合、表土が乾いて白っぽくなっていたら、たっぷりと水やりします。庭植えの場合、湿り気のある場所なら放任できますが、土壌が乾きやすい場所なら表土が乾いたら水やりして適度な湿度を保つようにしてください。
肥料は、植えつけの際に、元肥として緩効性化成肥料を土壌に混ぜ、花後に追肥として緩効性化成肥料または液体肥料を施します。
地植えした土に腐葉土などを混ぜていたときは肥料を与える必要はありません。有機質を多く含んでいる土にしておくといいです。
病気と害虫
スズランは有毒植物ですので害虫が寄り付かないような性質をしていますが、水はけが悪いと白絹病にかかりやすくなります。
植え付け、植え替え
スズランの植え付けは10月上旬から12月上旬、もしくは4月上旬から5月上旬に、株元の芽が土に隠れる程度に浅植えします。
何もせずに放置していると、株が混み合って徒長などを起こして生育が悪くなってしまうため、鉢植えの場合は、1年か2年には一回り大きいサイズに移して植え替えを行います。
根に付着している土を軽くでいいので取り除き、根が均等になるように揃えてください。長い根っこが出てきたときは、はさみなどを使って切ってしまっても結構です。
庭植えも3年〜5年育てていると株が拡大してきます。株分けをすると同時に植え替えしてください。植え替えるときは、新しい芽の先を地面のぎりぎりの場所に来るように植えるように。
植え替える時期は、休眠期の10月〜12月もしくは4月〜5月です。休眠の期間に入っても株が成長しており、花芽が作られているので、植え替えしてもダメージは少ないです。
しっかり土台が出来上がっているので、その後の生長には影響が出ないため根や茎などに少し傷付いても丈夫に育ってくれます。
植え付け直後または植え替え直後は、水やりをたっぷりと施します。
なお、スズランは「種まき」からでも栽培することができますが、種から育てると花が咲くまでに時間がかかってしまうため、園芸店などでは出回っていないことが多いです。
スズランには全草(特に根と花と花粉)に毒が含まれていますので、種を素手で触るとかぶれる可能性があります。種を採取するときは、必ずに手袋を装着してから作業に取り掛かってください。
スズランの花名の由来
スズランは学名ではConvallaria majalis(コンバラリア・マヤリス)と呼ばれています。
Convallariaには、ラテン語で谷という意味になるConvallisと、百合という意味になるleirionを合わせて作られ、意味は「谷間の百合」。種小名マヤリスは「5月に咲く」の意。
英名のLily of the valley(リリー・オブ・ザ・ヴァリー)も「谷間の百合」という意味です。
日本原産種は、スズランの中の一つの変種なのですが、Convallaria majalis var. keiskeiと呼ばれます。このkeiskeiはケイスケイと読まれ、明治時代の初期に活躍していた植物学者の「伊藤圭介」という人物の名から取ったものです。
また、スズランは漢字で書くと「鈴蘭」と書き、スズのような形をしてランに似た花をつけることから鈴欄とつけられました。
和名には君影草(キミカゲソウ)と言い、谷間の姫百合やドイツスズラン(独逸鈴蘭)という別名もあります。
君影草(キミカゲソウ)は、鈴蘭が葉の影に隠れてひっそりとたたずむ姿が、男性の後ろにたたずむ古き良き日本女性のように見えることにちなみ、また花の咲く様子が、頭を垂れて愛しい人を待ち続ける女性のように見えるからともいわれています。
園芸店に出回っているほとんどがドイツスズランです。
スズランにまつわる神話や伝承
・ヨーロッパでは聖母マリアの花とされている。
・フランスでは、囚人・病人の保護聖人 聖レオナルドが森の竜を退治したとき、血の跡から生えた花という伝説がある。
・古代北欧では、春の女神オスタラに捧げられる花である。
・北欧では5月1日にスズランを夫から妻へ贈り「愛する人の幸せ」を祈る。
・毒性があるため、この花を庭に植えると縁起が悪くよくないことが起きる前兆とされている。
・妖精の遊び場の花とされる(ケルト伝承)
スズラン(鈴蘭)の花言葉
花言葉の「純粋」「純潔」は白い花に共通するシンボル。ヨーロッパでは、聖母マリア様の花であることに由来し、花嫁姿と重なるということで、結婚式に使われるブーケにすずらんの花があしらわれていることもあります。
「幸福の再来」「幸福が訪れる」は、スズランが春の訪れのしるしであることにちなみんでつけられました。
「無意識の美しさ」は、スズランの美しさは意識せずとも美しいということに由来。
また「天へのはしご」は、花が階段状に咲く形状と毒草であることに由来しますが、清楚で可憐な花姿とのギャップがなんとも怖いですよね。
スズランの花言葉:「純粋」「純潔」「謙遜」「幸福の再来」「幸福が訪れる」「無意識の美しさ」「天へのはしご」
誕生花:5月1日 5月2日 5月28日
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