秋の七草のひとつであるフジバカマは雪の結晶のように淡く細かい花が少しずつ、薄く広がるようにいくつも咲く花。日本の伝統的な花で秋の始まりを上品な色合いで知らせてくれます。フジバカマの特徴と育て方や名前の由来 花ことばについてまとめてみました。
目次
フジバカマの特徴
フジバカマは日本の伝統的な秋の花で秋の七草のひとつ。奈良時代より前から親しまれ古くは源氏物語でもその花の名前を見ることができます。
フジバカマは晩夏〜秋にかけて、茎の先に多くの枝を出し、小さな花を多数つけます。淡く薄い紫色の花が集まるような形で咲くため、まるで絨毯のように咲く花姿はとても印象的です。
つややかで深緑色の葉の多くは3つに深く裂け、生乾きのときには桜餅の葉のような上品な香りがします。中国では薬草としても重宝されていました。
科名 | キク科 |
---|---|
種類 | 多年草 |
別名 | ランソウ、コウスイラン(香水蘭)、ユーパトリウム |
原産地 | 中国、朝鮮半島 |
高さ | 100~150cm |
花期 | 8~10月 |
増やし方 | 株分け、さし芽、種まき |
フジバカマの育て方
フジバカマは日向であまり乾燥しない場所に植えて育てます。日当たりが半日程度ある場所でも成長はしますが、徒長しがちになり、花色が悪く花数も少なくなります。
庭植えの場合、地下茎で猛烈に繁殖するので、あらかじめ土の中を板で仕切っておき、広がりすぎないようにするといいでしょう。
水やりと肥料
水切れがあると傷むので鉢植えは水切れしないようにします。雨が降っている日以外は毎日水やりをするか、浅く腰水にしておきます。
庭植えでは3日以上雨が降らず、夕方でもしおれているようであれば十分に水やりをしてください。
肥料については植え替え時に、元肥としてリン酸が多めの緩効性肥料を少量(5号鉢で二つまみほど)入れておきます。
芽出しから7月いっぱいまで、チッ素、リン酸、カリウムが等量配合の化成肥料を月1回、または配合肥料を月1~2回施します。
大きくしたい場合はチッ素とカリウムが多めの液体肥料を追肥しても。ただし、肥料が多すぎると茎葉ばかりが茂るので、肥料切れにならない程度に、控えめとします。8月からはリン酸が多めの液体肥料を1000倍に薄めて月2~3回施します。
庭植えの場合は特に必要ありませんが、大きくしたい場合や、葉色が悪い場合は鉢植えに準じて施してください。
病気と害虫
病気ではうどんこ病、ウイルス病にかかりやすい植物です。
ただしうどんこ病で深刻な状況になることはあまりありません。
この仲間のヒヨドリバナなどでは、コナジラミの媒介でウイルス病が発生します。
感染すると葉脈が黄色く浮き上がり、株が萎縮して衰弱し枯れます。治療法はないので、病気になった株は処分しウイルスを媒介するコナジラミの防除、予防を徹底します。
主な害虫はコナジラミ、アブラムシ、ハダニ、コナガ。
コナジラミの仲間のタバココナジラミは白い小さな羽虫で、夏を中心に発生し主に葉の裏側で吸汁します。爆発的にふえ、ウイルスを媒介するので注意が必要です。
そのほかの害虫は、それほど深刻な状況になることはあまりありません。
植え付けと植え替え
日当たりの良い場所で育てます。フジバカマは強華で育てやすい植物ですので、日当たりが悪くても枯れることはありませんが、茎が弱くなるために、花が少なくなる可能性も有ります。また乾燥に弱いため、春から夏の生育期は、水切れを起こさないようにすることが重要です。
冬の間は、根腐れを起こさないよう、生育のペースに合わせて乾燥気味に育てます。水切れすると傷みやすいので、雨の日以外は基本的に毎日水をやる方がよいでしょう。肥料は緩効性肥料を植える段階で混ぜておけば、その後は特に必要ありません。
フジバカマは大きいものでは1~2mにもなりますが大きくなりすぎる場合は、切り戻しという作業が必要です。5月ごろ、地面からの3分の1から半分ほどを残して切ります。切った後の枝はさし芽に使うこともできます。
⇒ フジバカマを【楽天】で見てみる
フジバカマの花名の由来
フジバカマの花名の由来は、「花の色が藤色で、花の形が袴を帯びている」ことから。
歴史的和歌集である『新撰万葉集』にも書かれています。
フジバカマの花言葉と誕生花
花言葉「遅れ」「ためらい」「躊躇」「あの日を思い出す」は、フジバカマの、少しずつ小さな花を咲かせる様子にちなんでいます。
写真:watanosさん(写真AC)
フジバカマの花言葉:「遅れ」「ためらい」「躊躇」「あの日を思い出す」
フジバカマの誕生花:9月28 日、11月6日
早春の花一覧 / 春の花一覧 / 初夏の花一覧 / 夏の花一覧 / 秋の花一覧 / 冬の花一覧