木枯らし舞う寒い冬枯れの庭に凛として咲き誇るのがクリスマスローズ。
そのロマンチックな花名とともに、照れたようにうつむき加減に咲く花姿はとても可憐で、
おもわず、手を差し伸べてみたくなる花といえます。
目次
クリスマスローズの特徴
クリスマスローズは花名のようにバラのような華やかで派手派手しさはなく
自然の色に溶け込む素朴でナチュラルな色合いが特徴です。
花弁のように見えてる部分はガク片が進化したもので、中心部の小さい部分(蜜腺部)が花になります。
本来の花弁は退化して「ネクタリー(蜜腺)」として残っていて、
この部分は花が咲き終わると落ちてしまいます。
そのご、ネクタリー(蜜腺)が落ちた後に、種子ができ子房が膨らんできます。
花弁は5枚が大半ですが、中には6枚のものもあり、
花粉が出る直前の頃が花型も花色も一番美しく見える時期。
クリスマスローズの花は、咲き方や色、形、模様などが豊富で、
ひと株ごとに表情が違い、似たものはあっても、同じものはありません。
そして、クリスマスローズは、花色(ガク)が最初ピンクに色付き、日ごとに変わって白くなり、最期は緑で終わります。
種によっては根茎や葉に毒があり、あやまって摂取すると、
嘔吐、腹痛、下痢、けいれん、呼吸麻痺、心拍数の低下、心停止などを引き起こすので注意が必要です。
科名 | キンポウゲ科 |
---|---|
種類 | 多年草 |
別名 | レンテンローズ、ヘレボルス・ニゲル、雪起こし(ユキオコシ)、カンシャクヤク(寒芍薬) |
原産地 | ヨーロッパ、西アジア |
高さ | 10~50cm |
花期 | 12~4月(種類により違う) |
増やし方 | 株分け、タネ撒き |
クリスマスローズの育て方
クリスマスローズはもともと野生の植物なので、
丈夫で初心者でも育てやすい植物です。
庭植えの場合は、水はけのよい、明るい半日陰に植えつけ、秋から春までは日がよく当たる、落葉樹の木陰などが適しています。
鉢植えの場合は、水はけ、水もちのよい用土で10月から4月ごろまでは日当たりのよい場所で、5月から9月ごろまでは明るい半日陰で管理します。クリスマスローズは乾燥気味に育て、梅雨どきや秋の長雨には当てないようにしましょう。
水やりと肥料
庭植えの場合は、基本的に水やりは必要ありません。
鉢植えの場合は、10月から5月までは、鉢土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。6月から9月まではやや乾かし気味に管理します。
肥料ですが庭植えの場合は、10月に緩効性肥料を施します。
鉢植えの場合は、10月、12月、2月に緩効性肥料を施すほか、10月から4月まで液体肥料を月に2~3回施しましょう。
病気と害虫
病気には灰色かび病、立枯病、べと病、軟腐病、黒斑細菌病、モザイク病、ブラックデスなど多くの病気がありますが、原因は過湿になったり、蒸れたりすることで発生しやすくなります。
葉や茎に黒いしみが生じるブラックデスは防除できないので、見つけしだい、株ごと処分してください。
害虫もハモグリバエ、ハマキムシ、ナメクジ、ヨトウムシ、アブラムシ、アザミウマ、ハダニなど、多くは主に春から秋に発生します。害虫は見つけしだい、早めに防除します。
植えつけ、 植え替え
適期は10月から12月ですが、10月から翌年3月まで行うことができます。生育がおう盛なので二回り大きな鉢に、毎年、植え替えてください。
秋に入手した場合は、根を完全にほぐして古い用土と傷んだ根を取り除いてから植えつけ、冬から春に入手した場合は、根を傷めると生育が悪くなるおそれがあるので、軽くほぐす程度にします。
クリスマスローズの花名の由来
クリスマスローズという名前は、本来は原種の一つであるニゲルの英名で、
クリスマスの時期に薔薇のような花を咲かせることから、英国で付けられたものです。
クリスマスローズにはたくさんの品種がありますが
その中の、「ヘレボルス・ニゲル」という原種は
ヨーロッパでは、花が少なくなる12月末、ちょうどクリスマスの頃に花を咲かせます。
学名はヘレボルス(Helleborus)。
クリスマスローズの根には毒があり、かつて樹液の毒を狩猟に用いたことから、ギリシャ語の「殺す(helein)」と「食べ物(bora)」に由来します。
種小名の「ニゲル」は、黒を意味し、根が黒いことから。
ヨーロッパでは、花が少なくなる12月末、ちょうどクリスマスの頃に花を咲かせることから
「クリスマスの頃に咲くバラ」という意味で
「クリスマスローズ」という名称がついたといわれています。
そしてキリスト教の四句節(レント)にちなみ、
英国ではレントローズと呼ばれています。
クリスマスローズのエピソード
イエス・キリスト(紀元前4年頃~紀元後28年頃)が生誕したとき、マデロンという少女が羊飼いたちと一緒に祝福に訪れました。
少女は贈り物に囲まれた赤ん坊のキリストを見て、貧しい自分には何も贈るものがないと泣いてしまいます。
その姿を見た天使は不憫に思い、雪の下に咲いてるクリスマスローズを示し、この花を捧げなさいと伝えます。
マデロンはそれを摘んで聖母マリアに捧げたと伝えられています。
クリスマスローズの花言葉
古代ヨーロッパでは、クリスマスローズの香りが病人から悪臭を除くと信じられ、ギリシアでは狂人を正気に戻すと考えられていました。
また、イギリスのエリザベス時代(16~17世紀)には憂うつを追い払うのに使われていたといいます。
花言葉の「私の不安をやわらげて」「慰め」は、クリスマスローズの花の香りが、心を落ち着かせるとして薬草としても用いられており、これに由来します。
「生命力」はひとつの球根が何年も花を咲かせ続けることに由来し、「中傷」はクリスマスローズの根には毒があり、かつて樹液の毒を狩猟に用いたことから悪評をあらわします。
写真:雄太さん(写真AC)
写真:雄太さん(写真AC)
クリスマスローズの花言葉:「私の不安をやわらげて」「慰め」「生命力」「中傷」
クリスマスローズの誕生花:2月5日 2月13日 2月16日 3月6日 3月15日 4月30日 6月15日 11月14日 11月16日 12月13日 12月19日 12月20日 12月24日 12月26日
淡緑の誕生花:3月6日
春咲きの誕生花:2月5日
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