日本の秋を彩るシオンは、落ち着いた薄紫色の小さな花が多数集まって上に伸びて咲きます。素朴な和の雰囲気があるシオンの花の特徴や育て方、花言葉や誕生花をご紹介します。
目次
シオンの特徴
シオンの花は、日本の秋を彩る花のひとつで、野趣に富んだ素朴な薄紫色の花は暑さ寒さに強く丈夫な植物です。高さ1~2mほどで花茎3cmほどの楚々とした小さな花を群がって咲かせます。
歴史的な書物である『今昔物語集』にその名を見ることができるように、平安時代から観賞用として栽培されていました。
現在は野生の品種は絶滅してしまい、今は園芸種が出回っています。
科名 | キク科 |
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種類 | 多年草 |
別名 | オニノシコグサ(鬼の師子草)、オニノオモイグサ(鬼の許志草)、ジュウゴヤソウ(十五夜草) |
原産地 | アジア北東部 |
高さ | 100~200cm |
花期 | 9月~10月 |
増やし方 | 苗、株分け、挿し芽 |
シオンの育て方
シオンはとても丈夫な植物なので、環境が合えば手間があまりかからずによく育ちます。日当たりがよく、水はけのよい土壌で育てるのがポイントです。
手間をかけずに育てることができるので、ガーデニング初心者に向いている花といえます。
水やりと肥料
鉢植えの場合は、表土が乾いたら十分に与えます。庭植えの場合、晴天が続かないかぎり水やりの必要はありません。
植え替えの際に、元肥としてリン酸とカリウムが多めの緩効性化成肥料を、3号鉢で一つまみ施します。4月から9月にかけて、1か月に2回、液体肥料を1500~2000倍に薄めて施します。肥料が多すぎると姿が乱れるので、少なめを心がけてください。
病気と害虫
うどんこ病や茎や葉に赤茶色のさびのような斑点が多数つくさび病は、枯れませんが、生育が衰え、見た目が悪くなります。見つけたら感染した茎や葉を取り除き処分します。
害虫は、ハモグリバエ(エカキムシ)、アワダチソウグンバイ、アザミウマ、アブラムシに注意を。
植えつけ、植え替え
シオンは、苗から育てるのが一般的な植え方ですが、よくふえてすぐに根詰まりを起こすので、鉢植えの場合は毎年植え替えます。庭植えの場合は植え替えの必要はありませんが、3年に1回は掘り上げて株分けしましょう。
3月~4月ごろ、または10月~11月が植えるのに適した時期で地植えがおすすめです。深さ30cmの穴を掘って、そこに苗を植えます。
植えた後は、雨が降るのに任せておけば、ほとんど水やりは要りません。肥料も、なくても育ちます。もし与える場合は、植える際や植え替えの際に、元肥として緩効性化成肥料を、3号鉢で一つまみ施すぐらいでいいでしょう。
参考:みんなの趣味の園芸
シオンの花名の由来
シオンは、大きな紫系の花がたくさん集まって咲く様子から、草木が茂る様子を意味する「苑」が当てられ、『紫苑(シオン)』となりました
また、シオンの学名は「Aster(アスター)」と言います。これはギリシャ後の星という意味を持ち、花の放射状の形から因んでつけられたと言われています。
別名のオニノシコグサ(鬼の師子草)、オニノオモイグサ(鬼の許志草)は、シオンのエピソードから。ジュウゴヤソウ(十五夜草)は、仲秋の名月の頃に開花することが由来とされます。
シオンにまつわる伝説やエピソード
むかしむかし、父を亡くした仲の良い兄弟がいました。兄弟は毎日墓参りに行っては父を偲び嘆き悲しんでいました。
やがて年月が過ぎ、兄は悲しみを忘れるために、忘れ草の萱草(カンゾウ)の花を植え、弟は思いを忘れないという思い草の紫苑(シオン)の花を植えました。
願いが叶い兄は悲しみを少しづつ忘れ、いつしかお墓参りの足も遠のいていきます。一方の弟は親を忘れられず、雨の日も風の日も欠かさず墓参りをしました。
ある日、弟が墓参りに行くと、鬼が現れていいます。「私は父親の屍を見守る鬼だ。お前の親を慕う心に感銘した。ほうびにその日に起きる出来事の善悪が判る予知能力を与えよう」
それからは弟はその力を借りて幸せに暮らしたという。(今昔物語より)
エピソードが伝えたいことは、嬉しいことは忘れず、悲しいことはさっさと忘れなさいという教訓。
のちにシオンの別名、オニノシコグサ(鬼の師子草)、オニノオモイグサ(鬼の許志草)の由来になりました。
シオンの誕生花と花言葉
シオンの花言葉「追憶」「追想」「君を忘れない」「遠方にある人を思う」は、全て今昔物語集のエピソードからきています。大切な人を忘れないという 心優しい花言葉から、遠く離れて暮らす方や好きな人へのプレゼントとしてもおすすめですね。
花言葉:「追憶」「追想」「君を忘れない」「遠方にある人を思う」
誕生花:9月9日、9月28日、10月16日
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